【M9】伊吹山の『幻の姫ボタルと天の川』を撮る。〈登山〉
1.ミッションレベルB
伊吹山は登山口から頂上までは、3時間30分程度。
しかし、夏の伊吹山は、夜間の頂上駐車場が解放される。
伊吹山ドライブウェイを利用すれば、約30分で駐車場へたどり着く。
利用料は、3090円だ。
駐車場にはトイレや売店が設置されている。
ちなみに駐車場から山頂までは、15分程度だ。危険な箇所はないが、ナイトハイクであることを忘れてはいけない。登山靴にヘッデンは必須だ。
「登山家と天の川」
2.星空レベルC
天の川は薄っすらと肉眼で見ることができる。
しかし、岐阜市や愛知の光害が近く、標高1,377mという条件を考えるとおしい星空だ。
方角や撮影地を考えて撮影するとよいだろう。
低い位置から天の川をみあげるように撮影することで光害の影響軽減した。
3.星景レベルB
ホタルの数は多くない。もし姫ボタルを撮りにいくだけなら、長良川沿いを勧める。
伊吹山から1時間ほど車で移動すれば到着だ。
伊吹山で撮影する価値は、星空(天の川)と撮影できる点である。駐車場から山頂までの道のりで、チラチラとホタルの光を確認できる。数少ないホタルの光と星空をどのように組み合わせるかが腕の見せ所だ。
「山頂までの登山道で見つけたホタル」
4.ベストショット
動きの少ない姫蛍の躍動感をだすために、1匹の蛍の光跡を撮影した。
『山岳星景写真』〜山登りのススメ
1.山登りのススメ
普段の生活の中で、ストレスが溜まることがよくある。そんな時、非日常を味わい、リフレッシュしたいと思うのは私だけだろうか。
海外旅行に行ってリフレッシュなんて魅力的だ。私も、旅行が大好きである。
ただ、選択肢の1つに山での一夜があるのとないのでは、人生を豊かにする上で大きな差になるのではないだろうか。一度でも、晴れた日の山に泊まり、太陽の暖かさを感じて目を覚ます経験をしてみて欲しい。
少しひんやりとした空気を感じ、雄大な景色を見ながら朝食をとる。朝食も空気もたまらなくおいしい。たとえ普段よりも、質素なメニューだとしても。
人それぞれ場面は違うかもしれないが、そんな山の空気や雰囲気を思い出す瞬間がある。その瞬間を、登山家は山が呼んでいると言うのだろう。
2.山岳星景のススメ
山は、空が近くて星が綺麗だ。山登りを始める前、どの山も同じように見えていた。今では山の形に好みがある。
あまりはしゃぐタイプの私ではないが、登山中テンションが上がり、「槍様〜♡」などと叫んでしまう。山の姿を見ることは、恋人に久しぶりに会う高揚感に似ている。山に魅了されてしまったようだ。同じ景色は1つとしてない。
自分の歩いた道を別の山から見る。その頭上に天の川。なんと素晴らしい景色なんだろう。山の上で切るシャッターは格別だ。
山に登り、高度を上げれば上げるほど青空の青も、夜空の黒も下界のそれとは違う。深いのだ。
最高の星空を求めたら、行き着くのは山の上だろう。車で目的地まで行き、シャッターを切るのとは訳が違う。計画準備を登山と撮影の両方から整えていく。自分の健康や体力を見直す必要もあるだろう。
ようやく目的地にたどり着き、眺める星空は涙が出るほど美しい。その感動と、目の前に広がる美しい事実を写真に収める。それが、山岳星景写真だ。
【M8 LV:B】『天空の池に映った星空』を撮る
「天空の池 上空に現れた月暈」
目次
1.ミッションレベルB
長野県大鹿村は、星空を観測するのに適した素晴らしい場所だ。撮影地はいくつかあるが、今回は大鹿村にある天空の池ミッションだ。
天空という名前のとおり、標高約2000mにある池である。
そのため、星空を見るのに適した撮影地である。且つ、車で行くことができる点もよい。
ただし、車でのアクセスには、2つの難点がある。
1つ目は、通行規制がかかることだ。必ず大鹿村HPで確認してから向かおう。
2つ目は、悪路であることだ。急で狭いうえに砂利の坂道である。ガードレールもなく運転操作を間違えればおちる。四駆車でのアクセスを勧める。ただ、FF車で登る者も度々見かける。
「天空の池に向かう手前にある池」
「ここから悪路が始まる。通行止めになっていることが多い。」
「帰りの道は中央アルプスに見惚れて運転操作を誤らないように」
「道の途中には、水が溢れ出ている箇所がある。落石にも注意が必要だ。」
天空の池のすぐそばに駐車場がある。
ただし、トイレはない。
2.星空レベルB +
標高2000mの星空は美しい。中央アルプス方面は光害の影響を受けるが、暗い空の方面が多い。天の川を池に映すことも可能だ。
3.星景レベルB +
西の方角には中央アルプスが目の前に見える。且つ、池越しにそれを眺めることできる素晴らしい展望地だ。
「池越しの中央アルプス 夜が始まる」
ここは、登山口にもなっている。山頂に向かって、登山15分ほどで塩見岳のビューポイントへ行ける点もよい。
「枯れ木との景色も楽しめる」
「表情豊か」
4.ベストショット
『片割れ時の星空』
映画「君の名は」をイメージして撮影した。飛行機雲が星にぶつかり、映画に出てくる彗星のように見えたのだ。
「世界級リゾートへようこそ。山の信州フォトコンテスト春」入賞作品
Mission start
天気が良くて星が瞬く夜、撮影に飛び出したくて、そわそわしてしまう。
そんな君はもう星景ハンターなのであろう。
天候、季節、気力など様々な条件が揃わなければmission(撮影)は成功しないだろう。
目的地へ辿り着いても、撮れない夜は何度もあるだろう。だからこそ、満点の星空には希少価値がある。
魅力は多岐に渡る。それは、非日常感、大自然に心奪われる喜び、狙ったものを狙い通りに撮影できた達成感、流星との偶然の出会い、印象的な天の川の世界、湖面に瞬く星空、まだ誰も出会ったことがない景色。
自分で開拓して見つけた撮影地はかけがえのない宝物だ。
「失敗しない後悔しないそんな人生がいいな。」
撮影が上手くいかない夜、ある歌のフレーズを思い出す。
しかし、
うまくいかない夜が、満天の星空をさらに輝かせることも知っている。
不注意で、カメラを池に落としてしまう時もあるだろう。ピント合わせに悩む夜もあるだろう。野生動物に怯える瞬間もあるだろう。寒さに凍える夜もあるだろう。
いろいろな夜を超え、経験を積む。
そして、暗闇中、異常な速度でのカメラ操作が身についた頃、
あなたの「最初の一枚」が完成するだろう。
私の冒険も、まだ続いている。狙っているカットはまだまだたくさんある。そして、私のmissionは、私だけでなく、あなたを満足させるだろう。
撮影からは、たくさんのこと学ぶだろう。自分の能力をフル活用して撮影に挑み、自分を高めることを期待する。
季節を感じ花を楽しむ。星座の動きから時の流れを感じる。太陽の暖かさを学ぶ。
非日常を味わいたいなら星空を求めて出かけてみればいいのだ。
守られた世界からときに飛び出し、地球と宇宙の美しさを感じ、過酷だが贅沢な時間を味わおうじゃないか。
あなただけの、あなたのための星空がきっと見つかるはずだ。そんな瞬間を写真に収めることができたら、あなたの世界は広がっていくだろう。あなたの写真を評価してくれる人ばかりではないかもしれない。
しかし、自分の撮りたいものを思い描いたように撮れた瞬間は、何ごとにも変えがたい喜びが得られるはずだ。カメラマン冥利に尽きる瞬間だろう。
さぁ、究極の自己満足の世界へ。あなただけの景色を。そして最高の瞬間へ。冒険に出かける時だ。
あなたに、星景ミッションを与える。
【M7 LV:B】『世界遺産白川郷と蛍と天の川』を撮る
目次
1ミッションレベルB
白川郷での天の川撮影は、比較的容易だが、蛍の季節に撮影となると難易度がグッとあがる。2018年の夏には、数匹しかみることができなかった。1枚目の写真に蛍の光をと、構図を考えていたが叶わなかった。
"熊がでた"と聞いた。観光地だからと油断してはいけない。熊よけを持参すること。
当然新月や月がでていないときのほうが、星を多く見ることができる。しかし、撮影の際は、三日月程度までの月下での撮影を勧める。
理由は、白川郷の特徴である茅葺き屋根の家を暗闇に埋もれさせないためである。
ライトを当てる方法があるが、ここには住んでいる人がいるのだ。普段の生活に支障を与える撮影をしてはいけない。
また、編集や撮影方法の工夫で暗部を持ち上げることもできる。
しかし、月明かりのライティング以上の自然な仕上がりはできない。
うまく自然の条件を生かしながら、ベストな一枚を模索する。なんとも楽しく贅沢な時間だ。
「月が落ちた白川郷、うっすらと家がみえるだろう」
2.星空レベルB -
天の川を肉眼で確認できるが、街灯などの影響を受ける。
標高は、500mほど。
3.星景レベルB +
コスモスが咲いたり、田んぼに水がはったりと季節によって表情が変わり、一年を通して撮影を楽しめる。
雪深い地域である。雪が茅葺き屋根に積もった景色は、大変美しく、個人的には一番好きである。
昼間のロケハンを強く勧める。夜間の探索をして住民へ迷惑をかけないよう配慮を大切にするべきだ。
4.蛍と白川郷
写真の右下には、ホタルの明かりが薄っすらみえるだろう。
飛翔したホタルの光跡を写せなかったのは悔やまれるが、雰囲気のある一枚を撮影できた。
5.ベストショット
白川郷へは何度か撮影に来ている。今回、ここからのアングルを初めて見つけた。
新しい発見に興奮しながらシャッターをきった。
星景写真に必要な3つのこと
1.星景写真に必要なことは、以下3つである。
①撮影に向かおうとする力と感性
②知識と技術
③思考力、判断力、表現力
2.詳しく説明しよう。
[撮影に向かおうとする力と感性]
暗闇の中の撮影になる。その景色を撮りたいという思いの強さが、一歩を踏み出す鍵である。
情報収集力、見通す力、安全で効果的な撮影計画力を磨くことで、撮影に向かおうとする力を高めることができる。
どの画角でどんなアングルで、どれだけの時間をどんな方法で撮影するかは感性であろう。当然それを、支えるのは知識や技術や経験である。気象条件や空の様子が、刻々と変わる中、思い描いた一枚を撮影したいものだ。
[知識技術]
知識は、機材や星、植物、撮影地や登山についてなど幅広いものである。
技術は、撮影・編集技術や登山技術などがあるだろう。
[思考力・判断力・表現力]
もっとも大切なことと言っていいだろう。
魅力溢れる被写体に星空を組み合わせる。そこにこそ、星景写真の魅力が詰まっていると言ってもよいのではないだろうか。
なぜなら、組み合わせる素材は、雲海や山、桜に人物と無限に考えられるからだ。いろいろな組み合わせを思考し判断しながら星景写真を楽しんでもらいたい。
被写体を変えないで、同じ構図で撮影してはつまらないの?と疑問に思う人がいるに違いない。
そんな疑問をもった人は、きっと熟練者なのではないだろうか。
季節や時間によって、星空や景色は変化する。
例えば、夏の天の川、冬のオリオンに黄道光、流星、天文薄明、新月に満月。
例えば、紅葉に雪景色枯れ木に新緑。
同じ夜でも、同じ撮影地でも表情が全然違う。それを追いかけるミッションは、なんと素晴らしいのだろう。
私も、地元岐阜の「淡墨桜と星空」を季節を変えながら撮影し続けている。
単発ではなく、組み写真としての表現に楽しみを見つけたカメラマンは幸せである。
【M6】『摩周湖と天の川』を撮る
目次
⒈ミッションレベルB
中部国際空港から釧路空港へ飛び、摩周湖までレンタカーで向かう。空港から摩周湖第一展望台までは、80キロ程度。所要時間は、1時間20分。
拠点地の岐阜からでは、摩周湖までの道のりが長くミッションレベルを高めに設定した。北海道からは、車で目的地まで行くことができる。その場合のレベルはCであろう。
ただし、夜の運転には細心の注意が必要である。鹿、キツネなどの夜行性の野生動物との衝突の危険があるからだ。
2.星空レベルB〜A(未測定)
摩周湖は、標高が800mほどある。周りは、北海道の雄大な自然に囲まれている。そのため、光害の影響を受けない場所によっては、本州では見られない素晴らしい星空がみえるだろう。
3.星景レベルA
摩周湖を撮るならば、第1、第3、裏摩周湖展望と三箇所からの構図がある。
その日の星座や月の位置を考えて、撮影場所を選ぶことができる。
「簡単マップ」
「裏摩周湖」
「第3摩周湖」
「第1摩周湖」
4.ベストショット
『第1摩周湖からの爆焼け』
2日間、空には雲がかかり、ミッションは達成できなかった。
こんな夜を何度過ごしただろう。時間とお金、期待と情熱をもって撮影地に向かう。うまくいかない夜が、星景写真の、常習性を高めていく。
5.番外編 神の子池
観光に来たのなら、裏摩周湖に近い「神の子池」がおススメである。美しい「青」に癒されるだろう。この池の水は、湧き水である。そのため水温が8度前後であり、低温のため中の木は腐ることがないそうだ。
この池には「オショロコマ」という北海道にしか生息していない魚がいる。低温を好むため、年間を通じて冷たい水が湧き出るこの池が絶好の住処とのことだ。